奇跡の出産!身長122㎝、腕と脚の筋肉がほとんどない女性から生まれた赤ちゃん

2020年5月21日

出産には体力が必要です。小柄な女性が子供を産むと、一体どうやってそんなパワーが…と不思議になったりしますが、今回の女性の場合、驚くのは身長122㎝という小柄な体型というだけではありませんでした。

 

出産時、赤ん坊を取り上げた医師は自分の目が信じられずにいました。

それはまぎれもない奇跡だったからです。

赤ちゃんが生まれると、母親はすぐに抱き上げたいと思うのですが、彼女に限ってそれは不可能なことでした。
彼女は先天的に、腕と脚の筋肉がほとんどなく、関節も十分に動かない障がいを抱えていたからです。

 

22歳の女性シェリー・プサイラが産まれたとき、医師は「1歳までしか生きられないだろう」と母親に伝えました。

 

先天性の重い障がいを持っていたためです。

多発性関節拘縮症という名の遺伝的な疾患で、四肢の筋肉を形成することができず、関節稼働に制限が生じる病気でした。

 

 

つまり一般の人なら普通行えるような、物を持ち上げる、深くしゃがむ、といった動作が出来ないのです。

 

 

子どもの頃から20回を超える手術を行いましたが、根本的な解決にはなりませんでした。

無事に彼女が学校に上がる年になると、医師は車いすを使って特別支援学校へ通うことを勧めましたが、「自分の足でがんばる」と、5歳になったシェリーは車椅子ではなく自分で歩く練習を始めたのです。

 

 

学校ではいじめを受けたり、障がいへの無理解に苦しめられたりもしましたが、彼女はめげることなく、心を強くもって生きてきました。

 

 

やがてシェリーはオーストラリアの専門学校であるTAFEに通い始め、ソーシャルメディアを使ったマーケティングを学び始めます。

なるべく自分の手で生活する手立てを得るためです。

 

 

そしてそこで運命の出会いをするのです。

それは下部脊椎に障がいを抱えるクリスとの出会いでした。

 

遺伝的な疾患を持つクリスとシェリーは意気投合。そして交際が始まり、結婚することになったのです。

 

 

『できれば子供が欲しいね』二人は他のカップルのように家族を作りたいと思い子作りを始めます。

 

しかしそれは簡単な道のりではありませんでした。初めての子供を妊娠したと喜んだ二人でしたが残念ながら流産…。

 

医者は身長が122cmの彼女のお腹の中では、赤ん坊は十分に生育できないと考えていました。

 

そしてシェリーは「残念ですが、お子さんは望めないと思った方が…」と伝えられてしまいます。

それでも二人は諦めませんでした。

 

『医者はなぜ私が子どもを産めないのか、「小さいから」以上の理由を言わないじゃない』

 

悲しみを乗り越えたカップルは再び妊娠し、今度は驚くほどスムーズに運びました。

『ほらね。私にだって出来る!人並みの幸せを手に入れられるんだから…!』クリスとともに喜んだシェリー。

 

妊娠29週を迎えると、二人は病院に近いメルボルンに移り、また出産が近づくと彼女は病院で過ごすことになりました。

 

やがて陣痛が始まります。帝王切開での出産でした。

 

 

医師は最初、母体や胎児への負担が少ないとされる硬膜外麻酔という局所麻酔を行う予定でした。

 

 

しかし彼女の脊椎は十分にまっすぐではなかったので、結局全身麻酔をすることになります。

 

彼女のように背骨に変形があると、麻酔の際に針を差したり、管を入れることが難しいためです。

 

リスクのともなうお産でしたが、シェリーの小さな身体はこの試練を耐え抜いたのでした。

 

「信じられない…。本当に奇跡としか言いようがない…。いやしかし、おめでとうございます。」
「シェリー、本当によくやってくれた。ありがとう…!」

 

クリスは全身麻酔で深い眠りについているシェリーの手を握りました。

 

赤ちゃんは身長47㎝、体重2.5㎏で生まれ、ヘイデンと名付けられました。

 

遺伝的な疾患を持つ両親から生まれたものの、赤ちゃんには何の障がいもなく、健康そのものでした。

こうしてシェリーとクリスの子育てが始まりました。

 

 

しかしシェリーは赤ん坊を抱きあげることも出来ないため、何不自由なく、というわけにはいきません。

 

 

たとえば、シェリーはおむつの交換は出来るのですが、その間誰かが赤ん坊の足を持ち上げていなければならず、またお風呂で赤ちゃんを洗ってあげるときも、赤ちゃんをささえてあげる手助けが必要です。

 

 

週5日三時間のヘルパーさんに来てもらい、それ以外は夫クリスに助けてもらわないといけませんが、出来る限りは自分で子供の面倒を見る、というのがシェリーのやり方でした。

 

「だってお母さんになるって楽しいことだもの!」

 

また三人はよくプールに行くそうです。浮力の力を借りれば、息子を抱きしめてあげることが出来るからです。

 


道行く知らない人には、ヘイデンのお姉さんと間違えられ戸惑うこともあるようですが、彼女は母親業を楽しみ、一方TAFEでの勉強を続けるなど、充実した毎日を送っているようです。

 

こうしてシェリーは障がいのために一見不可能と思えた出産という大業を成し遂げました。

 

この事実は多くの障がい者やその関係者を勇気づけたに違いありません。

 

今後の子育てにおいても困難にぶつかることはあるかもしれませんが、シェリーならきっと道を見付けていくに違いありません。