出産後に虫刺されで薬を処方された母。その薬を飲んだ後恐ろしい事態に…【スティーブンス・ジョンソン症候群】

2020年5月21日

妊娠した女性や出産した女性が薬を服用するとき、医師は赤ちゃんに影響の出ないものを、と考え処方してくれます。

 

しかしちょっとした虫刺され程度に思ったものが、その人の命を奪うことになると、誰が想像できるでしょうか。

 

ある若い女性は、赤ちゃんを産んだばかり。しかし幼い子どもを残したまま、この世を去ることになってしまいます。

その原因は、誰もが予想できないことだったのです。

 

 

ミシガン州カラマンズーに住むカサンドラ・キャンベルは、まだ24歳で、子どもを産んで一週間、人生の盛りでした。

 

母となる喜びと大変さをかみしめ、また父と同じ。タトゥー・アーティストの道を歩み始めたばかりでした。

 

そんな彼女の肌に、虫刺されの痕のようなものが出来ます。

 

 

 

「…何だろう、これ?…まあ、すぐに治るでしょ…」

 

 

授乳中だったので、乳児への影響が少ないよう、二種類の抗生物質が処方されました。

 

しかし、まさかこのことが、彼女と家族の人生を大きく狂わせることになるとは思いもよりませんでした。

 

 

 

 

数日たっても肌は治るどころか、日を追うごとに発疹は広がり、インフルエンザのような高熱まで出始めます。

 

 

二度病院に行ったカサンドラ。

 

 

「原因は、、不明ですね…。」そう医師も首をかしげます。

 

 

そして心配していた母の元に、カサンドラの彼氏から絶望的な電話がきたのです。

 

「お母さん…、カサンドラの目が…見えなくなりました…」

 

 

『え!どうして…』母の不安はピークに…。

 

 

再び病院に運び込まれ、医師が検査しますが原因がわからないのです。

 

 

 

そして翌朝を迎え、やっと病名が判明。家族に医師から衝撃的な病名が伝えられました。

 

 

 

『スティーヴンス・ジョンソン症候群(SJS)であると判明しました…』

 

 

それはアメリカで、年に100万人中1~2件の確率で発症するというとても珍しい難病だったのです。

 

SJSは全身の肌に水疱が出来て壊死していく病気で、主に抗生物質に対する反応によって引き起こされます。

 

 

この病気は早期発見し、原因となっている薬をとにかく早く中止しなければ命にかかわる病気なのですが、あまりにも珍しいケースであるため、医師も正しい診断を
くだすまでに時間が掛かってしまったのです。

 

 

「一体何なの、その病気…聞いたことないわ!ちゃんと治るの!?私の赤ちゃんの面倒は、一体誰がみるの…!?」

 

 

カサンドラは恐怖と不安に襲われてしまいます。そうして水疱がどんどん全身を覆い始めていきました。

 

 

皮膚を失った重度のやけど患者と同じように治療するため受けいれ態勢のある病院に移され、同時に医者は、彼女に反応を引き起こしている薬の原料を特定することに全力を尽くします。

 

しかし病気の原因となる薬の原料は一つとは限らない上に、同じ病名でも人によって症状も原因も異なることから、その過程は困難を極めました。

 

カサンドラの家族は彼女を見守ることしか出来ず、一日一日が悪夢のようでした。

 

そのうちに合併症により肺が衰え始めます。

処置をしますが、根本的な原因がわからないので、彼女は弱る一方でした。

 

 

『どうか、、どうか回復しますように…』家族が祈る中、最悪な事態が起きてしまったのです。

 

カサンドラの呼吸は止まってしまいました。

 

「ベストを尽くしましたが、申し訳ない…。力になれませんでした…。」

 

医師が心肺蘇生を3度試みますが、彼女が戻ってくることはありませんでした。

 

「カサンドラ!!」彼女の早すぎる突然の死に、家族や友人皆がショックを受けます。

 

 

「まだ赤ちゃんも生まれたばかりなのに…!」

 

 

悲しみの涙に包まれる中、生まれてまだ3週間の赤ちゃんも、母親を失ってしまったのでした。

 

残された家族たちは通常の生活に戻ることができず、何もわからない赤ちゃんの無邪気な泣き声や笑い声だけが響きます。

 

 

気力を失った父は、娘と二人で働くはずだったタトゥースタジオに足を踏み入れましたが、彼女の最初の作品である、母のために描いたタトゥーのスケッチがあるのを見て、たまらずスタジオを後にしました。

 

 

再び哀しみの波が、彼の胸に押し寄せたからです。

 

 

それ以来、スタジオに戻れなくなってしまった父。

 

 

「ただの水疱と思っていたものが命を奪うこともあると知っていれば、早く対処して命を救えていたかもしれない…」

 

 

そう考えた家族は、この病気のことを世間に知ってもらおうと、少しずつ前を向き始めました。

 

 

「こういう病気もあるという知識があれば、あなたの大切な人を救えるかもしれません…!」

 

 

残された家族の哀しみは消えることはありませんが、少しずつ立ち直り、生きる力に変えていこうとしたのです。

 

 

またこの病気は南スーダン生まれの米バスケットボール選手マヌート・ボルが現役引退後に罹った病気でもあります。

 

腎臓病の治療のために摂取した抗生物質が、彼にSJSを引き起こし、たった47歳という若さで亡くなってしまったのです。

 

まだまだ元気だと思っていた人が突然亡くなることほど哀しいことはありませんが、カサンドラの家族も、彼女の病気を広める活動を通じて、
立ち直れる日がくるといいですね。

 

そして残された赤ちゃんが、健やかに育つことを祈りたいものです。